ふとした瞬間アイツはいた。
悟られないように身をを潜めていたのか、振り返り様に現れるなんて。
「どこからきたの?」
なんて野暮な問いかけは聞く耳ももたないだろう。
「どこへいくの?」
なんて大きなお世話だろう。
鋭い視線をちらつかせながらさも何事もないかのような出で立ちで、
自分のテリトリーを主張している。
分かってる。何かで聞いた話だ。
君の領域に踏み込むことはしない。
訳など聞かずにただ見送るだけさ。
僅かな時間を共にしただけ。
ただそれだけ。
また出会うことなどないであろう君は、
なにも告げず消え去った。
戻るべき場所へ向かったのかは定かではないけれど。
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