あれが最後だった。
再会の約束は守られるべきなのにね。
笑顔で告げた言葉が扉の向こう側に閉じ込められたまま。
あれから流れた時間はまだ先に向かって延びている。
平行線のように交わることのないラインを描きながら。
記憶の彼方に少しずつ溶け込んでいる。
佇んで動けない。
それではなにも変わらないから。
前を向いて歩いていく。
引き返してもなにも変わらないから。
空を見上げて遠くを目指す。
人生の交差点ですれ違っただけの間柄。
瞬きほどの接点が果てしない物語を紡いでいる。
あれが最後だった。
そのとき気が付かなかった事が今はわかるよ。
そして今なら言える言葉も伝える術もない。
感情の錯綜する空間の制御に時間をつぎ込んで至る。
変わりゆく風景が追憶と共に消えていく。
それが新しい道に進むということなのだろう。
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