2018年6月27日水曜日

テリトリー

ルールに縛られることは時に苦痛だ。
自らの決め事など通用しない世界は無数にあるからだ。
しかし遊び人である以上、極限の領域で楽しみたいなら、
そのテリトリーを侵してはならない。
距離感。言葉。情。
ギリギリの駆け引きこそが、最大限の快楽と至上の喜びを共有する。
そう。共有こそが必要なのだ。

自己満足は果てしなく虚しい。
批判の罪は自分の欲の愚かさでしかない。
満たしたいだけなら、何も考えない方が良い。
与えることも求めることも、ためらうことも戸惑うことも。
全ては終わりに向かって進んでいく。
形も記憶も残さない。

無限の財を成したとしても、
人との出会いは一握りにも満たない。
お互いのテリトリーで重なる時間はごく僅かでしかない。
そう知っているなら。
痛みを刻む記憶より、いつか風化するだけの伝説を、
自分の存在が時に流される一瞬の後ろ姿でも、
華やかな世界に飛び込むのなら潔くありたい。
輝く幻想を浴びながら、煌めく空間に溺れながら。

私は砂の城の住人。
風に舞いそうな乾いた砂をかき集め造られた城の住人。
永遠はないと知らされた世界にもうすぐ旅立つことだろう。

オアシスとおぼしき水場に辿り着けば、
思いがけない夢の時間を演出する旅人になろう。

誰かが噂をしたとしても、
夜が明ければ消え去ってしまう現実。
何も残さずに過ぎ去ろう。
そう思いながら。

さあ幕を開けよう。
一晩だけの伝説が始まる。






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