ルールに縛られることは時に苦痛だ。
自らの決め事など通用しない世界は無数にあるからだ。
しかし遊び人である以上、極限の領域で楽しみたいなら、
そのテリトリーを侵してはならない。
距離感。言葉。情。
ギリギリの駆け引きこそが、最大限の快楽と至上の喜びを共有する。
そう。共有こそが必要なのだ。
自己満足は果てしなく虚しい。
批判の罪は自分の欲の愚かさでしかない。
満たしたいだけなら、何も考えない方が良い。
与えることも求めることも、ためらうことも戸惑うことも。
全ては終わりに向かって進んでいく。
形も記憶も残さない。
無限の財を成したとしても、
人との出会いは一握りにも満たない。
お互いのテリトリーで重なる時間はごく僅かでしかない。
そう知っているなら。
痛みを刻む記憶より、いつか風化するだけの伝説を、
自分の存在が時に流される一瞬の後ろ姿でも、
華やかな世界に飛び込むのなら潔くありたい。
輝く幻想を浴びながら、煌めく空間に溺れながら。
私は砂の城の住人。
風に舞いそうな乾いた砂をかき集め造られた城の住人。
永遠はないと知らされた世界にもうすぐ旅立つことだろう。
オアシスとおぼしき水場に辿り着けば、
思いがけない夢の時間を演出する旅人になろう。
誰かが噂をしたとしても、
夜が明ければ消え去ってしまう現実。
何も残さずに過ぎ去ろう。
そう思いながら。
さあ幕を開けよう。
一晩だけの伝説が始まる。
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