2018年6月18日月曜日

優しさの代償


「優しいのね」
その言葉をどれだけ聞いたんだろう。
そんなに大したこともない行いに与えられる称賛。
きっと使いやすい誉め言葉だと理解できるには時間が必要だったよ。
悪いことではない。むしろ誇るべきことなのかも知れない
自分がどう振る舞うべきか。旅先の道標のように示していたはずなのに。

時が残酷なのか。

「優しすぎるから」
最後はその言葉で締め括られる。
称賛は更なる高みを登り詰め運命を切り裂く。
戻ることのない場所。
心が孤独を受け入れ始める。
傷つけることさえ出来ない自分を見透かされていたのか。
二度と交わることのない影。
表情は背中越しのさよならで見ることなく。
最後の優しさを、あなたに。

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