夜は短い。
そう感じるようになったのはいつからだろうか。
気が付けば月夜も闇夜も仰ぎ見ることなく過ぎ去ってしまった。
賑わう場所の妖艶ささえ、忘れかけて今を生きている。
どうしているかなんて知るよしもなく、どうしているのと問われることもない。
変わらない距離感がどこまでも続いている。
ただ風の噂のような呟きに、時おり励まされていたような気がする。
その繋がりも消え果てた。
時代の移り変わりなのだろう。
どこかに眠る記録はこの先の未来を映すことなく、現実を探したとしても、空っぽの建物が冷えた壁と扉を晒しているだけだろう。
一方的な情を注いだとしても、溢れて流れる儚き世界。
グラスに映る笑顔を忘却の彼方に差し出せば、思い出という名の忘れ物を、そっと優しく閉じることだろう。
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