2018年9月26日水曜日

鮮やかに舞え

翼など持たない生き物なのに、
いつかは飛べると信じていた。
ふわりと身体が軽くなって、
どこまでも自由に行ける気がした。
ルールやモラルが鎖となって、
地面に呑み込まれるほど重く感じる。

夢はやがて固く結んだ口の奥にしまって、
眠りを妨げる理不尽なムービーを写し出す。

鮮やかに舞え。
責任感は拭えなくても。
しなやかに舞え。
無関心の悪戯を掻い潜れ。

氷の溶ける音がした。
グラスで弾ける泡の音。
アナログのノイズが揺らぎ、
ノスタルジックな時間が通り過ぎる。

鮮やかに舞え。
焦燥感は拭えなくても。
しなやかに舞え。
噂話の悪戯を掻い潜れ。

翼があっても飛べないのなら、
見上げた空を否定しよう。

翼が無くても飛べたとしても、
空の存在に気がつかないまま。

緩やかに舞え。
ただひたすらに舞え。
浮き上がった身体が流れるように。
灯りが消えたあの通りで、
自由な猫と風と遠くのサイレンと共に。

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